
海外絵本ってどう選ぶの?
川合 亮平




ふだん触れている世界とは違う、異質なものに触れることは、それがポジティブなものであれば、子ども時代のかけがえのない貴重な体験となります。
異質なものに触れるポジティブな体験の1つに異文化体験がありますが、例えば海外旅行もそのカテゴリーの中に入ると思います。海外旅行で得られるポジティブな異文化体験を、家の寝室で、コスト1,000円ほどで、しかも寝ながら(笑)味わえる、というのが、ある意味で海外絵本の読み聞かせの醍醐味ではないでしょうか。

海外の絵本って、やっぱり日本の絵本と何か違うんですよね。それは、絵のタッチが違うとか、そういう具体的な要素ももちろんあるんですが、創作の元になっている文化が違う訳ですから“雰囲気”が全然違うんです。子どもは感覚が鋭いので、必ずしも言葉や態度で表現していなくても、その異文化体験から絶対に何かを感じているはずなんです。
僕が保育園に通っていた頃、祖母が外国旅行(たぶん、ハワイかグアムか)のお土産として、子どもにしてはかなり大きなタイヤ状の玩具を買ってきてくれたことがありました。タイヤ状の側面には時計の針のようなものがあり、その針を、側面に描かれている動物のところに持ってきて、ぶら下がった紐を引くと、その動物が英語で鳴く、というもの(例:鶏なら「クックドゥードゥルドゥー」) でした。
その外国産玩具の強烈な印象は、最初は違和感ですらあったので、今でもよく覚えています。思い返せばそれが僕にとって初めての異文化体験だったのかも。
異文化体験を重要視する理由は、1人の人間が第2言語として英語を身につけようとするとき、その言語の文化に馴染みがあるか、ポジティブな印象を持っているか、というのが、非常に大切な要素になってくるからです。
僕を含めて、自らの意志で学習をして英語ができるようになった人は、たいてい、その学習動機に海外文化が絡んでいます。例えばそれは、「ワン・ダイレクションのメンバーと英語で話したい!」かもしれないし、「英国でガーデニングの勉強がしたい」かもしれない。文化の種類が何であれ、自分という存在と、好きな文化の間に英語というものが存在し、文化に触れたいがために、英語を身につける。それが英語習得の1つの王道です。文化的背景がなく、語学だけ学ぶのは、本末転倒であると思っています。
ですから、子ども時代に海外絵本と触れ合うことは、海外文化体験を積んでいることに他ならず、それがひいては、その子が将来、英語を自力で身につけようと思う動機に栄養を与えることになるのです。
直接見せられる良い機会となる 親と英語の関わりを子どもに直接見せられる良い機会となる