
日本には春、夏、秋、冬と四季がありますよね。日々の暮らしの中で、食べ物の旬や自然の色付きから季節を感じることが当たり前のようになっています。桜の季節になると、私たち日本人だけでなく沢山の外国人がお花見を楽しむために日本にやってきます。自然を美しいと感じる心は世界共通です。
今回紹介する絵本は、自然に広がる季節の魅力を伝えてくれるお話です。冒頭で読者に向かって自己紹介をしてから、ニコラスの物語がはじまります。
原文
“I am a bunny. My name is Nicholas. I live in a hollow tree.”日本語訳
「ぼくはうさぎ。名前はニコラス。くぼんだ木の中で暮らしてるんだ」
うさぎの少年ニコラスは、自分の家の周りに広がる草原や森の中で四季を満喫しながら1年を過ごします。季節が移り変わっていく中で、ニコラスは自分の好きなことを次々と読者に紹介します。春はお花を摘んだり、夏は鳥を観察したり、秋は紅葉狩りをしたりして、土砂降りの雨季でさえも楽しんでいます。冬になると雪が降る寒空を眺め、また春の訪れを心待ちにしながら1年が終わります。
読んでいて良いなと感じたことは、文が短く複雑な表現が無いところです。 I like~から始まる文が多く、中学生で習う英文法がわかれば読めてしまう程シンプルでストレート。
読み聞かせをするお父さんやお母さんは、子どもが小さいうちは、子どもがじっくり見ていたり、指差したりするものについて説明してあげましょう。
たとえば我が家では、息子が絵を指差すごとに「色とりどりのお花がきれいだね」「カエルさんが池で休んでいるね」と語りかけをしていました。もう少し子どもが大きくなれば「ニコラスと鳥さんはどんなお話しをしているのかな?」と問いかけたりすることで、子どもの想像力を育てることができます。子どもと一緒にオリジナルのセリフを考えられると楽しいですね。
文章のシンプルさとは反面、自然と生き物の描写は緻密でダイナミックです。ページ全体は花や木のイラストで一杯に埋めつくされ、原色に近い色使いがとても鮮やかです。ニコラスの毛並や、鳥たちの羽根などは柔らかみがあり細かい部分までが本当にリアル! 絵が好きなお子さんでしたら、蝶やお花のイラストをお手本に、色や形をまねてお絵描きをしてみてはいかがでしょうか。
そもそも私がこの絵本を知ることになったのは、動画サイトにあげられた1本の動画がきっかけでした。動画では、お母さんが赤ちゃんにこの本を読み聞かせます。最後のページも全て読み終わり「The end」と言うと、赤ちゃんが悲しくて泣き出してしまうという可愛らしい動画です。
動画で見てもわかるほど美しいイラストに心を奪われ、絵本を購入すると、驚いたことに主人公の名前が自分の息子ニコライ(ニコラスのヨーロッパ名)と同じ! さらに、主人公のニコラスは著者のお子さんの名前から取ったものと分かり、なんだか運命のようなものを感じました。
著者のオーレ・リソムは1920年にコペンハーゲンで生まれました。20歳を過ぎてアメリカへ渡った後は、従来の絵本の枠組みを超える数々の業績を残します。ディズニー映画の絵本やお風呂で楽しめる絵本を実現化し、『スイミー』で知られるレオ・レオニなど多くの著名アーティストとも制作活動を行いました。
イラストを担当したリチャード・スキャリーは1919年にボストンで生まれました。美術学校でアートを学んだ後、1949年に「Little Golden Books」シリーズのイラストレーターとして活動を始めました。リソムと出会ってからは、良き親友として長きに渡って共同制作を行いました。
本作品では見開き2ページを使ってワンシーンが表現されています。イラストはそれぞれ大きく明瞭に描かれ、草木の筋や動物の毛先一本一本まで見て取れるほどです。同じ花や動物でも一つ一つが違う表情を持っていて魅力的です。
2才になったばかりの息子はまだ文を読むことはできませんが、この本が大好きです。主人公ニコラスの隣にいるような視点から描き出されたイラストが、自然や生き物たちをより身近に感じさせます。絵本を眺めてニコニコしている息子の姿は、まるでうさぎの少年と友達になって遊んでいるよう。みなさんもニコラスと一緒に四季の美しさを堪能してみませんか?
ライター:mayuko
外語大学で第二言語習得やマルチリンガル教育について勉強しました。卒業後、モスクワ生まれのロシア人と結婚し2015年に長男を出産。家族全員で日・露・英のトライリンガルを目指しています!
平日は正社員として働いているため、子どもと遊ぶ時間が充分に取れないことに対して罪悪感に苛まれる時もあります。せめて動物と電車の絵本が大好きな息子のために、いつでも好きな時に本を読める環境を作るよう工夫しています。
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