センダックのカウンティング・ブックで楽しく学ぶ数のかぞえ方

海外絵本・英語絵本におすすめの『One was Johnny』

『かいじゅうたちのいるところ』(冨山房)が世界的に有名なアメリカの絵本作家モーリス・センダック。2012年に亡くなるまでに80冊を超える作品を発表してきました。

今回はその中から、わが家が『かいじゅうたちのいるところ』よりも先に手に取って、息子のお気に入りとなった『One was Johnny』(『ジョニーのかぞえうた』,冨山房)をご紹介したいと思います。タイトルの通り、この本は数え歌になっています。しかし普通の数え歌ではないのです!

ストーリーは、一人暮らしのジョニーの部屋のみで展開します。のんびり孤独を満喫していたジョニーの元に、次々に舞い込んでくる珍客たち。1から10まで数えたら、部屋がいっぱいになってしまいました! さあ、どうする? ジョニー!

原文の遊び心を踏襲し、工夫を凝らした日本語訳を手がけたのは神宮輝夫です。『かいじゅうたちのいるところ』、『まよなかのだいどころ』(冨山房)、『まどのそとのそのまたむこう』(冨山房)のセンダック「三部作」もすべて翻訳しています。

 

1から10までの数え歌が突然逆さまに?

海外絵本・英語絵本におすすめの『One was Johnny』

淡い青を基調としたセンダックならではの独特のイラストが目を引き、場所はジョニーの部屋しか描かれていないのに、なぜか最後まで飽きさせません。その理由はどんどん勝手に部屋へ入って来る、ちょっと可笑しな動物たち。

最初は一人だった部屋に、2番目に窓からねずみが飛び込み、3番目にそのネズミを追って猫もやってきます。4番目に犬、5番目に亀、6番目に猿、7番目にカラス、8番目に虎も入ってきて、ジョニーの部屋はもうめちゃくちゃ!

なんと9番目に泥棒までやってきて、ついに2人と8匹=10になってしまいました。困ったジョニーは、こう言い放ちます。

原文
“Here’s what I’ll do―I’ll start to count backwards and when I am through―if this house isn’t empty, I’ll eat all of you!!!!”

日本語訳
「よくきけ みんな、これから ぼくは
かずを さかさに かぞえるぞ。
かぞえおわったときに、まだ ここにいたら、
みんな まとめて たべちゃうぞ!」

そう、ジョニーは10から1へ逆さまに数え始めるのです!

「食べちゃう」という意外性と逆さまに数える面白さが、子どもにはとても新鮮に思えるかもしれませんね。

 

シンプルに見えて盛りだくさんな内容が魅力

海外絵本・英語絵本におすすめの『One was Johnny』

海外絵本・英語絵本におすすめの『One was Johnny』

物語は「10」が折り返し地点になっています。部屋へ入ってきた逆の順番で出て行くため、自然と逆さまに数えていくことになるのです。

「逆さまに数える」は英語では“count backwards”です。いわゆるカウントダウンですね。NASAのロケットの打ち上げなどで耳にすることもありますが、あまり日常的には逆さまに数えることもありません。たまにトロトロしている子どもにしびれを切らしたお母さんが「3、2、1………」と数えている場面にも遭遇しますが!

英文は見事に韻を踏んでいて、読んでいて本当に心地よくなります。それを踏まえて、日本語訳にもかなりの工夫が見受けられます。

原文
“9 was a robber who took an old shoe”
“9 was the robber who left looking pale”

日本語訳
「9(く)つがあったと どろぼうが、はだしで のこのこやってきて、」
「9(く)つをかえして どろぼうが、あおいかおして にげだすと、」

「10」の折り返しを挟んだ「9」のページには、こんな風に書かれています。日本語訳は靴を「9つ(くつ)」と訳しています! しかもきちんと一定の文章リズムもそろえているのです。英文も日本語訳も、リズムに乗って読めるようにしてあるのですね。

韻を楽しみたい方は、ぜひまずは英文で一気に読んで、次に日本語訳を読んでみてください。また、実は英文はすべて動詞が過去形、“SVC+who VO”という構文になっています。文中のwhoは「~した誰々」をつなぐ関係代名詞ですね。

最初の文章では“a robber”となっているのが、次の文章で“the robber”と変わっている点にも注目です。aとtheの違いは、その物/人を知っているか否かです。最初はジョニーの知らない泥棒、次はもう知っている泥棒ですね。

ごくシンプルな絵本だと思っていたらこんなに内容が盛りだくさんで、何度読んでも飽きない理由もよくわかります。

 

ジョニーの顔が七変化する面白さ

海外絵本・英語絵本におすすめの『One was Johnny』

『ジョニーのかぞえうた』は最初に英語版を図書館で発見し、後で日本語訳版も借りるようになりました。息子がとても気に入って、何回か借りた本の一つです。

特に好きだったのは、ジョニーの表情がクルクル変わるところ。次々に部屋に居座る珍客たちを見て、いちいち可笑しな反応をするジョニーの顔が面白かったようです。そして一人が大好きというジョニーに親近感を抱いたのかも? この本が好きだったころの息子は、よく一人きり部屋にこもって、ひたすらレゴ作りに励んでいました。

部屋にいっぱいになってしまったページや、ジョニーの「たべちゃうぞ!」には面白い反応をしていました。そこから逆さまに数えるのが本当に楽しかったようです。

その後、数を数えるブームが来てしまったのか、町に出ても車のナンバーやお店の看板の電話番号などを見てはナンバーを言っていました。2~3才の数に興味がわいてくる時期には、とてもオススメなカウンティング・ブックです。

 

『ジョニーのかぞえうた』は、息子に1から10の数え方を教えてくれ、逆さまに数える楽しさも与えてくれました。

読み聞かせをする親にとっても、センダックのシュールな言葉遊びや、文法や韻にも凝っている濃い内容を満喫できる一冊だと思います。

数を覚え始めのころはもちろん、大きくなってからも一人で読めるような、長いお付き合いができる絵本です。

プロフィール

suppy

ライター:suppy

9歳になる息子と今まで多言語学習と世界の絵本に親しんできたアラフォーママです。
いろいろな国の言葉に触れて世界に興味を持ってほしいと思い、こども図書館やおはなし会に通って、たくさんの絵本と出会いました!
子どもと一緒に英語の発音を改めて勉強するつもりで、今も英語絵本の読み聞かせをしています♪

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