ヨーロッパの雰囲気漂うロングセラー絵本『へびのクリクター』

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みなさんは、へびと聞いてどんな印象をもちますか? こわい? かっこいい?

どちらかと言うとマイナスなイメージを持たれる方が多いのではないでしょうか。しかし、この絵本『Clictor』(へびのクリクター)を読むと、もしかしたら、へびのことをちょっぴり好きになれるかもしれません。

お話は、フランスの小さな町にくらしているご婦人ボドさんのもとに、かわったプレゼントが届くところから始まります。読み終えた後はほんわか心が温まる、少人数での読み聞かせにぴったりの絵本です。

フランスのとある小さな町にボドさんというご婦人が住んでいました。ある日、ボドさんのもとに奇妙な形をした贈り物がとどきます。あけてびっくり! 中から大蛇が出てきたのです。それは、ブラジルで爬虫類の研究をしている一人息子からボドさんへのお誕生日プレゼントでした。

ボドさんはへびにクリクターという名前を付け、我が子のようにミルクを飲ませたり、お出掛に連れて行ったり、寒くないように暖かい布団やセーターを用意してあげたり…と、クリクターとの生活がはじまります。

子どもがじわじわ引き込まれる、魅力ある絵とストーリー

クリクターのイラストは黒の細い線描で表現されています。絵本で使われている色は、白、黒、赤、緑といったシンプルなカラーのみです。この絵のシンプルさが、絵を見る子どもの想像力をかきたてます。シンプルなだけかと思いきや、細いペン先から描き出される人物の表情や、ファッション、家具などの装飾品がおしゃれで、大人が眺めても楽しめます。

読者である子どもたちは、へびがかわいらしく描かれ、ボドさんにこんなにもかわいがられていることに驚くでしょう。しかし、いつしか、クリクターを自分に置き換えて「ぼくもこんな風に大事にしてもらいたいなぁ」と思ったり、「クリクターがんばれ!」と友達のような目で見たりするようになります。

crictor_02_resizenew のコピー

子どもの気持ちに寄り添うストーリー

クリクターはお話の中で良いことをして最後に勲章をもらい、こう締めくくられています。

原文
“Loved and respected by the entire village, Crictor lived a long and happy life. The End”

日本語訳
「まちじゅうから あいされ、そんけいされて、クリクターは ながく しあわせに くらしました。おしまい」

絵本の世界に引き込まれた子どもは安心します。

プレゼントでヘビが届くという奇想天外な話から始まり、「へびと暮らすの? へびに豪華なベッド用意してあげるの?」と驚かされることが多いのですが、子どもは読み進めるうちに、いつのまにか「クリクターとボドさんの幸せな日々が長く続いて欲しいな」と願うようになるのです。

最後には、この気持ちに寄り添ってくれるところが、この絵本の素敵なところです。

おわりに

今では80歳を超える、作者のトミー・ウンゲラーさん。2004年発行の『みづゑのレシピ絵本のつくりかた2』(貴田 奈津子 著、みずゑ編集部 編、美術出版社)の中で、ヘビや強盗、人喰い鬼など悪者や嫌われ者を主人公にしたことについて、「子どもたちに完璧でなくてもいいんだってことを伝えている」とインタビューに答えています。

悪者と思われているものも、実は別の角度から見ると違う一面をもっていて、その意外性がお話をおもしろくさせているのです。

「こんなことがあったらいいな」という、子どもならではの願望を叶え、子どもたちがホッとする結末を届けてくれる『Clictor』は、我が家では「また読んで!」と何度も持ってくるお気に入りの絵本になりました。

プロフィール

スフレ

ライター:Souffle

6歳、5歳、0歳の子どもの母です。
絵本は自分が大好きで読んだり、描いたりしています。
特に自然描写の豊かなもの、ユーモアのあるものが好きで、海外ものも含め毎晩寝る前に1冊ずつ読み聞かせをしています。子どもたちはまだ簡単な英単語しか理解していませんが、まねして発音しています。いつか絵本や読み物の舞台となった外国の地を、大きくなった子どもたちと訪れるのが夢です。

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