
最近ではキャラクターグッズも大人気の、アーノルド・ローベル作「Frog and Toad(がまくんとかえるくん)」シリーズ。アメリカの出版社ハーパー・コリンズの「I Can Read!」シリーズの中でも、とてもよく読まれている絵本です。
幼稚園から小学校低学年の子どもが、ママやパパの助けを借りながら自分で読めるレベルの、やさしい単語で綴られています。がまくんとかえるくんの友情をベースにした、ほのぼのしたストーリーが魅力です。
今回ご紹介する『Frog and Toad Are Friends(ふたりはともだち)』には、「Spring(はるがきた)」「The Story(おはなし)」「A Lost Button(なくしたボタン)」「A Swim(すいえい)」「The Letter(おてがみ)」と、5つのお話が収録されています。
*邦題は、いずれも日本語版『ふたりはともだち』(三木卓訳、文化出版局)より。
「はるがきた」は、なかなか冬眠から目覚めないがまくんを、かえるくんが機転をきかせて上手に起こしてあげるエピソードです。がまくんが冬眠した11月から、そのままになっていたカレンダーを見たかえるくん、がまくんを起こすため、12月、1月、2月……とカレンダーをめくっていきます。がまくんが「Why, It is May!(おやおや、5月だ!)」と言ってやっと起きるシーンには、息子もクスッと笑っていました。
「おはなし」では、病気のかえるくんのために、何かお話をしてあげようと一生懸命考えるがまくん。ところが、まったく何も思いつきません。その結果、がまくんのほうが具合が悪くなってしまうのでした……。がまくんが必死でお話を考えるシーンに爆笑!
お話を思いつこうと、ひたすら「head(頭)」を使うのですが、頭の使い方がちょっと違う方向へ行ってしまいます。例えば「stand on his head(さかだちをする)」、「pour water over his head(水を頭にかける)」、しまいには「bang his head against the wall(頭を壁にぶつける)」なんてことまでする始末。これではがまんくん、具合が悪くなって当然ですね! 文章がリズムよく繰り返されるので、「head」にまつわる言い回しを自然に覚えてしまいます。
「なくしたボタン」では、がまくんがなくした上着のボタンを見つけようと、2人で森の中をあちらこちらさがしまわります。とっても苦労してさがしてくれたかえるくんに、がまくんは意外な特技でお礼をする、というお話です。
森の仲間の動物たちが「なくしたボタンはこれ?」と聞くと、がまくんは「違う!」と言い、なくしたボタンがどんなボタンかを説明します。サイズはsmall(小さい)なのかbig(大きい)なのか、形はsquare(四角い)なのかround(丸い)なのか、幅はthin(薄い)かthick(厚い)など、形状やサイズなどに関する単語が出てきて、関連する言葉をセットで覚えることができます。
「すいえい」では、がまくんとかえるくんが川へ泳ぎに行きます。水着を着たがまくんは、その姿を誰にも見られたくないと言います。その話を聞いた仲間たちが、かえって、がまくんの水着姿を見ようと川辺に集まってきたので、水から出られなくなってしまいます……。turtle(カメ)をはじめ、lizard(トカゲ)、snake(ヘビ)、dragonfly(トンボ)、そしてfield mouse(野ネズミ)まで。水着姿を笑われたくないがまくんの必死さに、思わず笑ってしまいます。うちの息子は水辺の生き物たちが好きなので、夢中になって絵に見入っていました。
ラストの「おてがみ」は、これまでに誰からも手紙をもらったことがないと嘆くがまくんに、かえるくんが心のこもったお手紙を書いてあげるお話です。読んでいるこちらも、とても温かい気持ちになって読み終えることができます。
この中で、2人のこんな会話があります。今まで一度もお手紙をもらったことがないというがまくんに、かえるくんがこう聞き返します。「Not ever?(一度もかい?)」。それに対して、がまくんは「No, never(ああ。一度も)」と答えるのですが、この会話でeverとneverの違いが簡単にわかります! 何かの折に「一度もないの?」「一度もないよ」とお子さんと会話できたら、英語がグンと身近になりますね。
昨年、息子が小学2年生のときに、国語の教科書に、この「The Letter」の和訳が載っていました。
幼稚園の頃から、がまくんとかえるくんの絵本に親しんでいた息子は、知っているお話が教科書に載っていたことがとてもうれしかったようで、宿題の音読もはりきっていました!
一年中(冬眠しているとき以外は!)ずっと一緒にいて、ケンカすることもなく、とても仲良しのがまくんとかえるくん。もしも、お子さんが、お友だちとのことで悩んでいることがあるなら、この絵本を一緒に読みながら、友情や親友について話し合ってみるのはいかがでしょうか。
息子は1年生、2年生と、なかなかお友だちとの関係がうまくいかなかった時期があり、教科書でこの話に再会したことをきっかけに、2人でこの絵本を読み直してみました。
「相手のことをちゃんと見て、考えて、何かをしてあげたいと思うこと、それが本当の友情だよね」
「その子と親友になりたいのなら、自分のことだけを考えずに、かえるくんががまくんにしてあげたようなことをしてあげようね」
本を読み終えた後で、そう伝えてみました。それが功を奏したのか、今ではお友だちとよい関係を築けているようです。
アーノルド・ローベルはアメリカの作家で、この「がまくんとかえるくん」シリーズで有名ですが、妻アニタとの合作である『The Rose in My Garden(わたしの庭のバラの花)』もよく知られています。また1981年には『Toad(ローベルおじさんのどうぶつものがたり)』で、コールデコット賞(アメリカ児童図書館協会が、その年の最も優れた絵本に授与している賞)を受賞しています。
なお、「がまくんとかえるくん」シリーズは、この『Frog and Toad Are Friends(ふたりはともだち)』(1970)からスタートし、『Frog and Toad Together(ふたりはいっしょ)』(1972)、『Frog and Toad All Year(ふたりはいつも)』(1976)、そして『Days with Frog and Toad(ふたりはきょうも)』(1979)の4作が刊行されています。
どのお話でも、がまくんとかえるくんがお互いを思い合っている姿に心が温まります。友だちでも、家族でも、人間関係の基本となるのは思いやりだと思いますが、「がまくんとかえるくん」は、そんな人間関係の基本に立ち返らせてくれる絵本です。
がまくんとかえるくんの愛らしい表情やコミカルな動作は、見ていると心がなごみます。絵本が長く愛され続けているのはもちろん、グッズに人気があるのも納得です。例えばグッズには、「The Letter」での2人を模した、こんな写真立てもあります。思い出の写真とともに飾ってみたいと思いました。
がまくんとかえるくんの会話のテンポのよさや、リズミカルに繰り返されるフレーズの心地よさを、読み聞かせでしっかりと味わいたい作品。ぜひお子さんと一緒に繰り返し読んでみてください。
♦メディア・ジャーナリスト、通訳者などとして活躍中の川合亮平さん。海外絵本の活用方法について教えていただきました。
>>「英語の絵本ってどう読み聞かせるの?」
ライター:suppy
9歳になる息子と今まで多言語学習と世界の絵本に親しんできたアラフォーママです。
いろいろな国の言葉に触れて世界に興味を持ってほしいと思い、こども図書館やおはなし会に通って、たくさんの絵本と出会いました!
子どもと一緒に英語の発音を改めて勉強するつもりで、今も英語絵本の読み聞かせをしています♪
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