
どんな子にも苦手ってありますよね。うまく出来ないから、あるいは苦手だから自信をなくしてしまったり、悲しい気持ちになってしまうこともあるかもしれません。ここで紹介する『Giraffes Can’t Dance』(『きりんはだんすをおどれない』,PHP研究所社刊)は子ども達の大好きなキリンさんが、自分の苦手に向き合うお話。子どもが壁にぶつかってしまった時にぜひ読んであげたい1冊です。
主人公ジェラルドは首が細くて長い、おまけにひざも足も細いキリンさん。じっと立って、木の葉っぱをムシャムシャ食べることは得意だけれど、走ろうとでもしたら膝が曲がってすぐ転んでしまいます。
昨今、アフリカでは動物たちのジャングルダンス会が毎年開かれています。
今年もジャングルダンス会の日がやってきましたが、ジェラルドはとても悲しい気持ちになっていました。ダンスということになると、ジェラルドはからっきし駄目なのです。
イビノノシシ、サイ、ライオン、チンパンジー、ヒヒと素晴らしいダンスを踊り上げます。
ジェラルドは息を飲みながら舞台へ立ったけれど、他の動物たちはみな大笑い。ジェラルドがどのようにして、ダンスを克服し、仲間から認められるか。ジェラルドを応援したくなるストーリーです。
イギリスで小学校の教師をしている義叔母が、この本を手に取り、「私の大好きな本! 毎年これを使って授業をするの。子ども達に『私たち一人ひとりみんな違うの。それぞれに個性があるのよ』って教えるのに最高のストーリーよ」と、興奮気味に話してくれました。
本作に出てくるダンスが苦手なキリンのジェラルド。苦手だと思っていたけれど、アプローチをかえてみると、体が自然に揺れ、他の動物たちもビックリするような見事なダンスを踊りあげます。
できる=良いでもなく、できない=悪いでもない。長い首や細い足など身体的特徴も全ては個性。全てをありのままに受け入れることをジェラルドは教えてくれます。
また、壁にぶつかった時にアプローチを変えてみるということも、この絵本から学べます。この音楽でダメだったら、違うのにしてみよう。クレヨンでうまく描けなかったら、色鉛筆にしてみよう、一人ひとりに合ったアプローチの仕方がある、ということもこの本が教えてくれます。
『Giraffes Can’t Dance』はストーリーもさることながら、カラフルで、動物いっぱいのにぎやかなイラストも魅力の1つです。
3才の娘はイラストの中の動物を1つ1つ指さしながら 「これは何ていう動物? これは? じゃあこれは?」と動物に興味津々!
ライオンやサイ、イボイノシシ、チンパンジー、ヒヒ達がそれぞれにダンスを披露するシーンでは、自分も踊りたくなるのか飛び跳ねています。
それぞれのダンスの特徴をよく捉えていて、本当に動物たちが踊っているかのような躍動感たっぷりのイラストはいつも娘のお気に入りです。
文自体が詩らしく韻を踏みながらリズムよく書き上げられてるのも魅力の1つです。
原文
“He was very good at standing still And munching shoots off trees, But when he tried to run around He buckled at the knees.”日本語訳
「彼はじっと立って木々の葉っぱを、 ムシャムシャ食べることは得意だけれど、 走ろうとでもすると、 ひざが曲がって転んでしまうのでした。」
最後のtreesと一番最後のkneesの2語の韻(-ees)を合わせてリズムを出しています。もう1ヶ所見てみると、
原書
“And this year when the day arrived Poor Gerald felt so sad, Because when it came to dancing He was really very bad.”日本語訳
「今年、その日がやってきた時、 可哀そうなジェラルドはとても悲しい気持ちでした ダンスということになると、彼はからっきし駄目なのです。」
最後のsadとbadで韻(-ad)を踏み、文のリズムをうまくまとめています。
カラフルで楽しいイラストと、ストーリーで十分楽しめる作品ですが、その中に織り込まれているリズミカルな言葉遊びにも注目すると、もっともっと本作の楽しさが膨らみますよ。
読み聞かせる時は、最初の2行を息継ぎなしで一気に読み、一呼吸おいてから残りの2行を読むとリズムがよく出て言葉遊びの楽しさもしっかり出せます。是非、試してみて下さいね。
『Giraffes Can’t Dance』は人気ぶりから小さい赤ちゃんでも楽しめる『Giraffes Can’t Dance Touch-and-Feel』、とびだす仕掛け絵本タイプの『Giraffes Can’t Dance Pop-Up』、6つの動物の指人形つきバージョン、数が学べる絵本『Graffes Can’t Dance Number Rumba』、そして迷路やシールなどが1冊にまとまった『Giraffes Can’t Dance Activity Book』と色々なシリーズが出ています。本作の対象年齢は読み聞かせなら3才~、自分で読むなら5才~とされています。
声の小さい子もいれば大きい子もいて、社交的な子もいれば内向的な子もいます。せっかちな子もいればのんびり屋さんな子もいて、算数が得意な子もいれば、国語が得意な子もいます。それもみんな個性。比べるのではなく認め合うことが大事ですよね。ダンスの苦手なキリンさんに出会うと、自分のことがもっともっと好きになれるはず! そして自分の周りの人たちのことも、もっともっと好きになれるのではないでしょうか。
ライター:yumitchellco
3歳の女の子を持つ英国北部スコットランド在住のママです。
「本との出会いは一生の財産」をモットーに娘が0歳の時から毎日読み聞かせは欠かしません。絵本を通して様々な世界を体験してもらいたいと、日々、どんな絵本を読んでいるか、どんな絵本が面白いかママ友と情報交換をしては色々な絵本を読んでいます。
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