ヤギの迫力に子供も夢中! 民話読み聞かせの定番絵本

海外絵本・英語絵本におすすめの『THE THREE BILLY GOATS GRUFF』

子どもの頃に聞いた民話や昔話。
「怖かったなぁ」とか「面白かったなぁ」と、今でも物語の印象が心に残っていませんか?
民話などの伝承されている物語には、なぜか少し残酷な部分があるのが世界的共通点です。

今回ご紹介する絵本は、ノルウェーの民話をアメリカの絵本作家Marcia Brown(マーシャ・ブラウン)が、楽しく迫力ある絵で再編したものです。

怖いもの見たさで何度も読んでしまう民話の不思議

海外絵本・英語絵本におすすめの『THE THREE BILLY GOATS GRUFF』

個人的にですが、子供時代に読んだ民話絵本で、ダントツに「コワーイ」と感じたのが今回ご紹介する『THE THREE BILLY GOATS GRUFF』(『三びきのやぎのがらがらどん』,福音館書店刊)です。

むかし、“がらがらどん”という名前の三びきのやぎがいました。ある日、橋の向こうに美味しそうな草場を見つけ、「あちらに行ってたくさん食べて太ろう!」と橋を渡ろうとします。

しかし、橋の下には、大きなトロル住んでいて、橋を渡るやぎを食べようとするのです。三びきのやぎは、かしこく頭を使い、いちばん小さなやぎ、二番目のやぎ、いちばん大きなやぎという順番で、橋を通り、トロルをやっつけてしまうのでした。

この物語で、何が怖かったのかというと、まず、“troll”(トロル)という生き物の存在です。「こんな怖い生き物がいるのか!」と驚きました。

そして、衝撃的だったのは、いちばん大きなやぎが、トロルをこっぱみじんにやっつけて、谷川に突き落とすところです。やぎは、紙を食べるかわいい生き物だと思っていたので、恐ろしいはずのトロルをやっつけてしまう場面に恐怖を感じました。

「あの怖いトロルをこっぱみじんにするなんて、強いなぁ」と感心して、その場面を怖いのに、何度も読みたくてたまらなくなったものです。

子ども時代に恐怖を知ることの大切さ

海外絵本・英語絵本におすすめの『THE THREE BILLY GOATS GRUFF』

大きなやぎがトロルを倒す場面の原文を紹介しましょう。

原文
“ and so he flew at the troll , and poked his eyes out with his horns,
and crushed him to bits, body and bones, and tossed him into the river.”

日本語訳
「そして、トロルに とびかかると、つので めだまを くしざしに、 ひずめで にくもほねも こっぱみじんにして、トロルを たにがわへ つきおとしました。」

この場面は、マーシャ・ブラウンの迫力ある絵の効果もあり、大人でも怖いと感じる人はいると思います。残酷すぎると感じで、この部分を飛ばして読んだという人もいるでしょう。また、「トロルと仲直りをしました」と、あえてストーリーを変えて読み聞かせるママもいるかもしれません。

しかし、私は、残酷な部分も、そのまま子どもに読み聞かせるべきだと思っています。絵本から、怖い場面をすべて排除してしまうのは、あまりにも、もったいない行為です。子どもが、実際の危険は一切伴わずに、恐怖という感情を体感できる大切なチャンスを、逃してしまうと思うからです。

民話の教訓を気にせず楽しくリズミカルに読む

海外絵本・英語絵本におすすめの『THE THREE BILLY GOATS GRUFF』

昔話や民話には、“教訓”というものが含まれています。この絵本も、「三度目の正直」(Third time’s lucky.)という“ことわざ”にも通じるストーリーではあります。教訓を重視するのも良いですが、単純に「おもしろいおはなし!」と、楽しんで読み進めることが、子どもの心には一番残っていくと感じています。

5才のお姉ちゃんに英語で読み聞かせましたが、1ページ読むごとに、「日本語でも言って!」と、せがまれ、「読んだ英語文を日本語に訳していく」という読み聞かせになりました。

今回の文章は緊張感があるので、細かい部分を少しでも早く理解したかったようです。それほど、ストーリーにのめり込んでいました。読みきかせが終わったあと、一人でこっそり絵本を読み返していました。

感想を聞くと、「トロルが怖かった」とのこと。今の子どもたちは、情報量が多いので、すでにトロルという生き物を知っていました。

読み聞かせのポイントは、昔ばなし風にリズミカルに読むこと。翻訳に自信がない方は、瀬田貞二さん翻訳の日本語版(『三びきのやぎのがらがらどん』,福音館書店刊)をこっそり隠し持っていると、急に内容を聞かれたときに安心です。瀬田さんの翻訳はリズミカルでとても面白いです。例えば、この一文は次のように訳されています。

 

原文
“Three billy goats who were to go up to the hillside to make themselves fat”

 

日本語訳
「あるとき山のくさばでふとろうと、山へのぼっていきました。)

 

私も5才のお姉ちゃんも(山のくさばでふとろうと)というくだりの言い回しが、おもしろくて笑い、大好きになりました。

楽しい民話を子供たちに知ってもらいたい

海外絵本・英語絵本におすすめの『THE THREE BILLY GOATS GRUFF』

作者のマーシャ・ブラウンは、アメリカのニューヨーク州で生まれ、絵本作家として多くの作品を残しました。『Stone Soup: An Old Tale (Aladdin Picture Books) (English Edition)』(『せかいいち おいしいスープ 』,岩波書店刊) 『Cinderella: Or the Little Glass Slipper』(『シンデレラ―ちいさいガラスのくつのはなし』,福音館書店刊)など、民話や童話を再編した絵本を得意としています。

民話の再編者としては、グリム兄弟(Brothers Grimm,ドイツ)、アンデルセン(Andersen,デンマーク)、シャルル・ペロー(Charles Perrault,フランス)、イソップ(Aesop,古代ギリシア)などが、世界的に有名です。

日本のむかしばなしも、先人たちの口頭伝承によって今日まで伝えられて来ています。彼らとは、少し違うアプローチですが、マーシャ・ブラウンの作品のように、楽しい絵本として、残していくことも、大切なのだなぁと感じました。

民話が消えてしまわないように、伝承して、未来の子ども達に、語りついでいかなければなりません。私自身がそうであったように、まずは、今の子ども達にファンになってもらい、未来の子ども達につなげていくことが一番の近道ですね。

プロフィール

ブルア

ライター:ブルア

絵本大好きライター。学生時代に英検2級を取得。
日本語と英語両方の出版がある絵本は、なるべく両方読むようにして英語の勉強を続けています。最近の図書館には、英語版も置いてあるので、とても助かります。
6歳と1歳になる女の子の叔母です。読み聞かせをする本は、なるべく文章が少なく、絵が楽しいものを選んでいます。楽しく英語を学んだ記憶は、子供たちの中に確実に残っていくと考えています。

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