『かいじゅうたちのいるところ』子どもの想像力を引き出す絵に魅了

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1975年に出版された『Where The Wild Things Are』は、神宮輝夫さんの素晴らしい翻訳により、『かいじゅうたちのいるところ』と訳され、日本では、100万部を超えるベストセラーとなりました。

「自分の子どもの頃に読んで大好きな作品だった」というお母さんも多いはず。大人になってから改めて読んでも、心躍る感覚を得られる楽しい作品です。

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母親を困らす元気な男の子マックスの冒険

主人公のマックスは、なぜかオオカミの着ぐるみをきて、家で大暴れ。堪忍袋の緒が切れたお母さんは、マックスに夕飯抜きを言い渡し、子ども部屋に閉じ込めてしまいます。

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マックスは、いつのまにか閉じ込められた部屋の中が、ジャングルのように変わり、船に乗り、大海原へ旅をし、たくさんのかいじゅうに出くわします。

島の王様になったマックスは、かいじゅうたちと、踊り、遊び、騒ぎつくし、やがてかいじゅうたちは疲れて眠りにつきます。マックスは少し寂しくなって王様をやめます。

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「いかないで」と泣きながら王様マックスを引き留めるかいじゅうたちに手を振り、自分の部屋に帰ると、そこには、おかあさんの用意してくれた夕飯がおいてありました。

美しく迫力のある絵に子どもはくぎ付けに

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なんといっても、モーリス・センダックの描く、特徴あるかいじゅうたちの美しさに目を奪われます。「美しい絵の本を子どもに見せたくて、この本を選んだ」というお母さんも実際にいました。

迫力のあるかいじゅうの顔を見て、はじめは、「こわい」とおびえる子もいるかもしれません。ところが、センダックの絵は、怖いながらも、どこかしらユニーク。よくよく見ると、かいじゅうたちの口元は、みんな笑っているようにも見えます。

「こわいけど、何度も見ちゃう」という子どもの感想を聞いてもわかるように、子どもたちも、いつしか、かいじゅうたちのとりこになってしまうのです。

読み聞かせる立場の親にとっては、自らの想像力が試される作品です。文章が非常に少なく、絵だけのページも多いので、お父さんお母さんの想像力次第で、子どもたちは、さらに作品を楽しむことができます。

私が読み聞かせをしたとき、子どもが気にいった場面は、かいじゅうたちがマックスを王様にする場面です。

“BE STILL!”と言って、マックスがかいじゅうの目をじっと睨むと、かいじゅうたちはマックスを“the most wild thing of all.”と呼び、マックスを王様にするのです。

子どもは、小さなマックスが、大きな恐ろしいかいじゅうを睨んで「静かにしろ!」と言っただけで、服従させたことに驚いていました。

さらに子どもは、細部までしっかり見ています。親たちが想像もしていなかった質問を投げかけてくるので、ウカウカしていられません。

自分の体験例で言うと、マックスがかいじゅうたちと楽しそうに行進している場面で、こう質問されました。

「なんでこのかいじゅうだけ足が人間みたいなの?」

よくよく見ると。たしかに一頭だけ足が人間のようで、ほかのかいじゅうは、爪が長く尖っています。とっさに考えて答えました。

「このかいじゅうだけ、爪を丁寧にちゃんと切っていたから、神様に足だけ人間にしてもらったんだよ」。

なんとか納得してくれました。私の場合、困ったときの神様頼みです。

大人になって忘れてしまった子どもの想像力の世界

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モーリス・センダックは、アメリカのニューヨーク生まれの絵本作家。2012年に83歳で亡くなるまで、80冊を超える作品を世に残しました。

センダック自身が3部作と呼ぶ

『Where the Wild Things Are』(かいじゅうたちのいるところ)
『In the Night Kitchen』(まよなかのだいどころ)
Outside Over There』(まどのそとのそのまたむこう)

は、彼の代表作となり、世界中で読み続けられています。

どの作品も、子どもの恐怖、反抗、冒険を根底に描かれており、「良さが分からない」とする大人が少なからずいても、子どもたち自身により強い支持をされ続けてきた作品ばかりです。

子ども目線から物語を展開する不思議なストーリーと、それを引き立たせる迫力のある絵が、読む者の想像力を描き立たせます。

大人になってしまうと忘れてしまいがちですが、子どもたちの中には、想像力で作られた大きくて広い世界が存在します。その世界の中で、どれだけ自由に過ごし、冒険することができるかは、親の手腕次第なのです。

『かいじゅうたちのいるところ』で、なぜマックスは、好き勝手に振る舞える島を後にし、自分の部屋に戻ってくるのでしょうか? 

母親の愛情を本当に感じている子どもは、どんなに叱られても、どんなに遠くまで冒険に行ったとしても、必ず母親の元に戻ってくるということです。

逆に言えば、母親の大きな愛情の中にいるからこそ、マックスは、かいじゅうの島にまで冒険に行けたのだ、とも言えるのです。

子育ては、体力と精神力の勝負。疲れ果てイライラしてしまい、「つい子どもを叱りすぎてしまう」という後悔の念に駆られているお母さんも多いでことしょう。

叱られた子どもが、マックスのように想像の世界の島に旅立つとしたら、親にできることはただ1つです。子どもが必ず戻ってこられる場所を与えることを忘れないでください。子どもたちは、お母さんこそ、その場所なのだと本能で知っているのです。

プロフィール

ブルア

ライター:ブルア

絵本大好きライター。学生時代に英検2級を取得。
日本語と英語両方の出版がある絵本は、なるべく両方読むようにして英語の勉強を続けています。最近の図書館には、英語版も置いてあるので、とても助かります。
6歳と1歳になる女の子の叔母です。読み聞かせをする本は、なるべく文章が少なく、絵が楽しいものを選んでいます。楽しく英語を学んだ記憶は、子供たちの中に確実に残っていくと考えています。

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