
加古里子さんの大人気「だるまちゃん」シリーズ一作目で、 1967年初版ロングセラーの英語版です。
だるまちゃんとてんぐちゃんがじゃんけんしている表紙は、とても生き生きしていて今にも声が聞こえてきそうです。
愛嬌のある顔に白い手足のあるだるまちゃんが主人公で、なんでも人のモノに興味を持ち欲しくなる幼児の気持ちと、それを叶えようと奮闘するお父さんを描いたお話です。
加古里子さんならではの見開きいっぱいに描いてある絵はバラエティーに富んでいて、どのページもお話を膨らませ、子どもと「対話」しながら読み進めていくことができます。
仲良しのだるまちゃんとてんぐちゃん。あるとき、だるまちゃんは、てんぐちゃんのかぶっている帽子が欲しくなり、お父さんのだるまどんにねだります。
“I want a hat just like Little Tnegu’s!”
(てんぐちゃんの ような ぼうしが ほしいよう)
それを聞いただるまどんは、家中から帽子を集めてつくるのですが……。
誰もが、友達が持ってるモノがステキに見えたり、友達と同じモノを持ちたい、それに近づくために知恵を絞ることは成長の過程であったと思います。そんな気持ちを等身大で描いた作品です。だるまちゃんが欲しいものを手に入れて満足している姿に、子どもたちも共感できるのではないでしょうか?
この本の対象年齢は3歳〜5歳とありますが、簡単な言葉と身近なモノが描かれており、絵を見るだけでも楽しいので、我が家では3ヶ月の息子に見せて、親子で楽しんでいます。
家中から集めて来てだるまちゃんが欲しいと願った「帽子」をお父さんが見せている場面では、帽子の絵だけで37種類も描かれます。しかし、残念ながらだるまちゃんが欲しい「てんぐちゃんのかぶっている形をした帽子」はありません。
だるまちゃんは周りを見回してひらめきます。お母さんだるまが片づけていたおわんを逆さにしてかぶり、「帽子」にしたのです。大人は、「帽子」と聞いて帽子しか用意できませんが、子どもには見たままの形をそのまま代用できるステキな発想力があります。
お子さんが大きければ読みながら、どんなものがだるまちゃんの欲しい「もの」になるかを一緒に想像したり描いたりしてみると、さらに楽しみ方が広がります。
子どもと等身大に描かれただるまちゃんが、人のモノが欲しくなる時期にどんな風にその欲求を満たしていくか、親としての接し方も見えてくる親子の教育絵本といってもいいでしょう。
本書は日本のベストセラーの英語版なので、横に日本語版を置いて、日本語と英語を読み比べながら、読み進めることもできます。日本語ならではの“音”や“行間” に込められた意味合いが、英語版では詳しく説明されているのが分かります。
たとえばだるまちゃんが欲しがった「てんぐの鼻」みんなで作るシーンでは、
「だるまどんは ぺったら ぺったん おもちをついてー」
という記述に対し
“Grandfather Daruma steams some rise,
…and Mommy and Daddy Daruma pound it to make rice cakes, ”
と絵を説明するように書いてあるため、絵を指しながら読むことで単語の意味も分かりやすくなり、小さい子どもでも目で追ってくれたりします。
また、だるまちゃんが「いいこと」を思い付く場面で登場する「そのうち だるまちゃんは いいことを おもいつきました」という表現は、“Then he just happens to look at the dining table”と訳されています。いいことを思いついたときに具体的に見ていた“dining table”という要素が追記されているのが分かります。
以下の「おもちをついてまるめる場面」では「だるまどん」しか登場しませんが、英語版ではGrandfather DarumaやGrandmother Daruma、Little Darumakoという英単語を使って、みんなでお餅を作ったことを表現しています。
子どもが成長し自分で英文を読んで理解できるようになったときに、原本と英語版を読み比べることでさらに学習意欲が沸くのではないでしょうか。
読み聞かせ用のCDや、You Tubeを用いれば、英語が話せない、苦手だった方でも、ネイティヴ発音で子どもに聞かせることもできます。しかしこの絵本は、簡単な単語とわかりやすい文になっており、さらに英語ならではの冠詞や代名詞を学ぶことができる一冊です。この機会に一緒に英語を勉強してみてはいかがでしょう。ぜひ、トライしてみてください!
ライター:すずらん21
読み聞かせの会も含め、5ヶ月の息子と図書館通いも楽しんでいる本大好きママです。語
り手や絵本作家に一時期憧れており、その世界は特に興味深く、語学も好きな私は翻訳と原書両方読んで文化の違いも楽しんでいます。
本も出逢いと思っていて、今は子どもと一緒に音節を楽しんだり絵をじっくり見る、パ
ラパラと素早く読んだりと、子どもの脳科学も取り入れバリエーション豊かな楽しみ方をしております。
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