実話を基にしたエリック・カールの友情をテーマにした1冊

海外絵本・英語絵本におすすめの『friends』
ライター:yumitchellco

表紙に描かれた男の子と女の子のイラスト。仲良さげにギュッと抱きしめ合ってるのが印象的ですよね。今回、ご紹介するのは『The Very Hungry Caterpillar board book』(『はらぺこあおむし エリック=カール作』,偕成社社刊)でお馴染みエリック・カールの『Friends』(『いちばんのなかよしさん』、偕成社)です。動物や虫など生き物をテーマにした作品が多いエリック・カールの作品の中で、人間の男の子と女の子が出てくる本作。この冬の娘のお気に入りの1冊です。

海外絵本・英語絵本におすすめの『friends』

原文
“Once there were two friends who were always together.”

日本語訳
「“なかよし”って ひとりじゃなくて ふたりから はじまるんだ。」

という一文から物語が始まります。

海外絵本・英語絵本におすすめの『friends』

主人公の男の子にはいつも一緒に遊んでいた仲良しの女の子がいました。一緒に遊んで、走って、踊って、そして内緒の話をし合って。けれど、ある日、その仲良しのお友達が突然遠くへ行ってしまったのです。残された男の子はとても寂しがります。そして、男の子は女の子を探そうと決心します。彼の大冒険の始まりです!

川を渡り、星空の下で眠り、巨大な山を越え、草原を通り抜け、雨の中を駆け抜け、森を通り抜け、お花畑を通り過ぎ……。男の子は、仲良しさんを探しあてることができたのでしょうか? アッと驚く結末にも注目です!

本作にこめられたエリック・カールのメッセージ

大切なお友達が遠くへ行ってしまったら、特に残された方にとってはとても悲しいですよね。今日、私たちが暮らす社会では、様々な理由で大切な人との別れを経験している子どもがたくさんいます。一度失われた友情を再び取り戻す――、これが本作のメインテーマです。

しかし、その中には、「人生の中で大きな変化に直面しても、その現実に立ち向かってほしい、悲観するのではなく希望を持ってその現実を乗り越えて欲しい」というエリック・カールのメッセージがこめられているのではないでしょうか。

海外絵本・英語絵本におすすめの『friends』

日々を一生懸命生きる子ども達。引っ越しをして住む環境や、保育園や学校などが変わったり、妹や弟ができて家族構成が変わったり。本作のようにお友達が遠くへ行ってしまったような生活の変化は必ず起こります。そんな子どもにとっては少し苦い経験に立ち向かう勇気をこの本はくれるはずです。また幼い時、そのような経験をしたパパやママにとっても、過去を思い出しながら読んであげられる1冊です。

エリック・カールの幼少期の経験

本作の最後に、作者エリック・カールの3才の頃の写真が載っています。本作の表紙のように仲良くギュッと抱きしめ合う男の子と女の子。

海外絵本・英語絵本におすすめの『friends』

実は、本作品はエリック・カール自身の幼少期の経験をモデルに作られた作品なのです。アメリカに生まれたエリック・カールは仲良しの女の子がいましたが、6才の時にドイツへ移住することになります。その女の子とは2度と会うことはなかったそうですが、心の中でずっとその女の子のことが気になっていたそうです。

そんな思い出をモデルにこの本を書いたエリック・カールでしたが、本作の刊行後に思いもしなかったことがあったのだとか。少し心が温かくなる、あとがきに書かれたストーリーもお見逃しなく。

子どもが応援したくなる男の子の大冒険

本作の対象年齢は3才から5才です。発達上、3、4才になると、子どもは絵本に出てくる登場人物の気持ちになりきるなど、絵本の世界により深く入り込み、ハラハラドキドキしたり、絵本に励まされたり、勇気づけられたリするようになると言われています。

そんな発達段階にいるからこそ、ダイナミックなエリック・カールの絵本に引きこまれた子どもたちは、男の子の壮大な冒険を心から応援したくなるようです。本作は、男の子が会いたい人に会いに行く道のり14ページをとても抽象的なイラストで描いています。2ページに及ぶダイナミックなイラストは、男の子の冒険の長さを物語っている気がします。

海外絵本・英語絵本におすすめの『friends』

娘もページをめくるごとに「ここにも女の子いなーい」「女の子、すごく遠くにいるんだねぇ」「早く会いたいねー」と言いながら、男の子を応援しています。アッと驚くハッピーエンドは娘もお気に入りです!

有名な『The Very Hungry Caterpillar board book』(『はらぺこあおむし エリック=カール作』,偕成社社刊)が初めてアメリカで出版されたのが1969年なのに対して、本作『Friends』(『いちばんのなかよしさん』、偕成社)は2013年と、エリック・カールの中では随分と新しい作品です。本作は大人は過去を思い出しながら読んであげられますし、子どもは未来を思いながら希望でいっぱいの温かい気持ちになってくれるのではないでしょうか。

プロフィール

yumitchellco

ライター:yumitchellco

3歳の女の子を持つ英国北部スコットランド在住のママです。
「本との出会いは一生の財産」をモットーに娘が0歳の時から毎日読み聞かせは欠かしません。絵本を通して様々な世界を体験してもらいたいと、日々、どんな絵本を読んでいるか、どんな絵本が面白いかママ友と情報交換をしては色々な絵本を読んでいます。

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