
おじいさん、おばあさん、おとうさん、おかあさん、そして10匹の子どもたち。みんな合わせて14匹のねずみの家族が、森の中で仲良く暮らしています。
さあ、今夜は十五夜。家族みんなでお月見です。子どもたちは力を合わせ、木の上で何やら一生懸命に作っています。木の枝を組み合わせてできたのは……、大きなお月見台!
やがて日が暮れ、山の向こうからまん丸のお月様が顔を出しました。ススキとお団子をお供えして、今年一年の収穫を感謝します。
美しい四季の移ろいを感じながら、日本の文化を学ぶことができる素敵な一冊です。
みなさんには、思い出すだけで懐かしくなる風景や、帰りたくなる場所がありますか?
私は、いわむらかずお先生の作品を手に取ると、いつも懐かしい感情で胸がいっぱいになります。
この本には、野山にひっそり咲く花、ほのかに色づき始めた葉っぱ、小さな生き物など、どのページにも美しい自然が息づいています。まさに、日本の原風景とも言える景色に、心のふるさとを見出す人も多いでしょう。一緒に読んだ長男も、「あ、トンボ! カエルも見つけた!」と宝探しをするように、一生懸命に生き物たちを見つけ楽しんでいました。
本書には、dragonfly(トンボ)、ladybug(てんとう虫)、sunset(日没)、moon(月)、acorn(どんぐり)など、自然に関する身近な物がたくさん出てきます。これを利用して、我が家では、「今日はacornを探してみよう!」「空が赤いね。そろそろsunsetだよ。」というように、外遊びの時に単語を教えています。実体験を通し、自然科学と語学を複合的に学ぶ事で、外遊びがより有意義になるのではないかと思います。
お月見、つまり陰暦8月15日に名月を鑑賞する習慣は、元々は中国で生まれました。
現在、中国ではこの日は中秋節と呼ばれ、遠くに住む家族も帰省して、みんなで集まって祝います。
そして、中秋節で欠かせない食べ物と言えば月餅(げっぺい)です。日本ではお月見にはお団子ですが、中国では満月に見立てた丸い月餅を食べるのです。中国では、丸い形は完全な様子を表し、縁起が良いとされてきました。中華料理店に丸いテーブルが多いのも、そういった背景があるためです。子孫繁栄を願い、家庭円満の象徴である月餅を食べる事は、中国人にとって家族の絆を深める大切な行事なのです。
中国の他に中秋節を祝う国はたくさんあり、台湾、ベトナム、マレーシアなどアジア諸国でも、月餅を食べる習慣があります。
月餅は英語ではMoon Cakeと言って、地域や国によって味が違ったりするそうです。最近は、ティラミス味やドリアン味など、個性的なものも登場しているとか! 機会があったら是非とも挑戦したいものです。
この本の作者・いわむらかずお先生は、1939年東京に生まれました。
作家として活動し始めた頃は東京に住んでいましたが、35歳ごろ自然を求めて栃木県益子町に移住し、現在(2017年)でも精力的に活動されています。
移住当時、何も無い土地を一から開墾する所から始め、家の設計、材料の発注、畑作り、更には陶芸で食器作りまでされたというから驚きです。
シリーズ全話を通して言える事ですが、14匹のネズミたちは、何でも協力して自分たちで作ります。本書では高い木の上に、家族全員が座れる大きなお月見台を作っています。この「何でも自分たちの力でやってみよう!」と挑戦する彼らは、まさに先生自身なのです。
便利な現代では、お金を払えば何でも買え、人と関わらなくても生活が成り立ってしまいます。しかし、物質的には豊かだけれど、精神的には貧しく孤独だという人も増えているのではないでしょうか。ネズミ一家の「自分の暮らしに積極的に関わり、みんなで支え合う生き方」は、私たち現代人が忘れかけた大切な物を思い出させてくれます。
この14匹家族を見ていると、昔から日本人がいかにして自然を大切にし、共存してきたかが分かります。もし、自然と共に豊かに暮らす方法が知りたくなったら、是非この本を読んでくださいね。きっと可愛いネズミたちが教えてくれますよ。
ライター:MKN Nakajima
1歳と3歳の男の子のママです。
学生時代から英語が好きで、語学研修や海外文通などを通して英語に親しんできました。
私が英語を学んで強く感じたのは、「英語が自分の世界を広げてくれた」ということです。
子どもたちには、英語絵本を通して様々な価値観に触れ、多様性に満ちた社会を理解する力を培って欲しいと思っています。
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