四季折々の自然の美しさと不変のものを守ることのすばらしさ

海外絵本・英語絵本におすすめのthe little house

アメリカの絵本作家バージニア・リー・バートンが優しい色使いで描いた『The Little house』(『ちいさいおうち』,岩波の子どもの本社刊)は、1942年に出版されて以来、本当に長い年月にわたり読み続けられています。

自然があふれる田舎の丘の上に立つ「ちいさいおうち」。この家を建てた人は「どんなにたくさんお金をくれると言われても、この家を売ることはできない。孫の孫のそのまた孫までこの家はきっと立派に立っているだろう」と、この丈夫な小さな家を誇らしく語りました。

その通りに、さまざまな季節を何度も丘の上で過ごしたこの家は、変わらずずっとそこに立っていると思われましたが、ある時、遠くの街から道を舗装する工事車両が次々とやってきて、あっという間に家の周りは車や電車や人が忙しく行き交う都会になってしまいます。

ゆったりした自然の中で暮らしていた「ちいさいおうち」は、あまりにも騒がしく汚れた街の中にひとり取り残され、壊れ忘れ去られていくのですが……。

作者のバートンは実際に、都会から移り住んだ海辺の村フォリー・コーヴで、野菜・果物の栽培や羊の飼育など自然を慈しむ生活を送ったといいます。そんな実生活から描かれた四季折々の自然の美しさは、子どもたちにはもちろん、大人になった私たちにも優しく目に映ります。

 

自然の大切さと環境破壊について学ぶ

 

物語の初めには、静かな田舎の丘の上から景色を眺めて暮らす「ちいさいおうち」が感じている、美しい自然の四季が綴られます。しかし中ごろから、自然を破壊し始める不穏な機械たちが街からやってきます。馬が引っ張っていない車たちです!

 

海外絵本・英語絵本におすすめのthe little house

 

表紙を開くとちいさいおうちがずらり! そしてその前を行き交う時代とともに移り変わる交通機関が馬から自転車、自動車、電車と描かれています。

 

バートンがこの絵本を描いたころのアメリカは、第二次世界大戦が始まった不穏な時代。家の前のデイジーの丘を切り崩して道路を舗装していくスチームシャベルやスチームローラーが、さながらすべてを破壊していく戦車のようにも思えます。

息子はこの急展開に驚き、鮮やかな色彩の自然が、次第にどす黒い雲と煙とススに覆われていくのを見て、「なんだか家が悲しそう……」と言いました。

 

海外絵本・英語絵本におすすめのthe little house

 

確かによくよく見ると「ちいさいおうち」の窓が目、ドアは鼻、敷石が口に見えます。その「顔」が、周りが都会化していく度にどんどん悲しげに見えてくるのです! 歪んだドアには×印、壊れた窓はまるで泣いているようです。

そんな家の哀しい姿を見て、息子なりに都会と田舎の違いを知ったようで、超高層ビルの間に挟まった薄汚れた家を見て「こんなところには住みたくないなぁ」と言っていました。もちろん「ちいさいおうち」自身もそう思っているのですが!

これは当たり前に身の回りにある自然がどれほど大切か、そして都会の便利さは醜さと表裏一体であることが一目でわかる絵本なのです。

 

四季折々の季語がこんなにたくさん!

 

この本は絵だけでなく英文のリズムも美しく、やや長い文章でもテンポよく読むととても気持ちよく感じます。そして春夏秋冬の季節にまつわる英単語がとても豊富です!

春には春を告げる鳥the first robinが南から帰ってくるのを待ち、蕾the budsはふくらみ開花blossomします。子どもたちが小川the brookで遊んでいます。

夏には白いデイジーthe white daisiesが丘を覆います。家のそばにあるリンゴの木はred and ripen熟して赤くなり始めます。

秋には初霜the first frostが降り、畑やリンゴの収穫the harvestも始まります。特に秋の紅葉が輝く様子“the leaves to bright yellow and orange and red”は、リズムをつけて読むととても素敵です!

冬には田舎は雪に覆われ“the countryside coverd with snow“、子どもたちはソリやスケートcoasting and skatingを楽しみます。

 

海外絵本・英語絵本におすすめのthe little house

 

息子が一番目を輝かせたのは、月の満ち欠けの絵が描いてあるページです。

 

原文

“the moon grow from a thin new moon to a full moon, then back again to a thin old moon; and there was no moon she watched the stars.”

 

日本語訳

「お月さまは みかづきから だんだん まるくなって、それから また だんだん ほそくなりました。お月さまが でなくなると、ちいさいおうちは ほしをながめました」

 

海外絵本・英語絵本におすすめのthe little house

 

宇宙や星が好きな息子にはとっておきの導入部分です! 特に新月から三日月a thin new moon、そして満月a full moonから下弦の月になっていく様子がa thin old moonと書いてあるのが、わかりやすかったようです。月のない晩に星が輝くのは、やはり田舎でないと見えませんね。息子はキャンプの晩に見た星を思い出したようです。

 

本当に変わらない「不変」なものとは?

 

初めに「ちいさいおうち」が変わらず丘にたたずむ様子を“the Little House stayed just the same.”と表していますが、「不変」であり「普遍」なものは、一体何でしょうか?

そんな風に同じように存在し続けるものがあるとしたら、それはやはり自然に溶け込んだ形のものなのでしょうか。都会に建つ高層ビルも、車も電車も、どれも壊れたら廃棄されるだけです。

自然は循環し、何一つ無駄なものがありません。そして人間も親から子へ、そしてその孫へと受け継がれていく「自然」に溶け込むべき存在です。しかし、時に人間は自然を破壊して、自分たちの住む場所を逆に狭めていくことがあります。

バートンがこの絵本に託したのは、生活の中で美しい自然を肌で感じ守っていこうという、本当に不変で普遍的なメッセージなのかもしれません。

バートンは自分の大切な家族に向けてそれぞれ絵本を描いています。

長男アーリスには『CHOO CHOO』(『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』,福音館書店社刊)、次男マイケルには『Mike Mulligan and His Steam Shovel』(『マイク・マリガンとスチーム・ショベル』,童話館社刊)、そしてこの『ちいさいおうち』はギリシア人の夫で彫刻家のジョージ・ディミトリオス(愛称ドギー「Dorgie」)のために、自分たちが移り住んだ小さな家を基に描いたそうです。

本当に変わってほしくない大切なものといえば、やはり自分の家族と住み慣れた家、そしてそれを取り巻くめぐる季節・自然の営みです。永久に変わらないものはないかもしれませんが、そう願って一日一日を家族と大事に過ごしていきたいですね。そんな気持ちをたびたびこの本を開いては思い出したいものです。

海外絵本・英語絵本におすすめのthe little house

 

日本語版は名前欄が空白に! 贈りたい人の名前を書いて、贈ってみてはいかがでしょうか。受け取った方は、一生の宝物として大事にしてくれるかもしれませんよ!

 

プロフィール

suppy

ライター:suppy

9歳になる息子と今まで多言語学習と世界の絵本に親しんできたアラフォーママです。
いろいろな国の言葉に触れて世界に興味を持ってほしいと思い、こども図書館やおはなし会に通って、たくさんの絵本と出会いました!
子どもと一緒に英語の発音を改めて勉強するつもりで、今も英語絵本の読み聞かせをしています♪

おすすめコンテンツ おすすめコンテンツ
なぜ幼児期に海外絵本と触れ合ったほうがいいのか
おすすめキーワード
人気記事ランキング

がまくんとかえるくん『ふたりはともだち』に感じる友情の大切さ

最近ではキャラクターグッズも大人気の、アーノルド・ローベル作「Frog and Toad(がまくんと...

LINEで送る

シェア

ツイート

はじめてのアルファベット学習にオススメ 楽しく学ぶ本

みなさんは、どのようにアルファベットを覚えましたか?日本では、「きらきら星」のメロディにのせて歌う「...

LINEで送る

シェア

ツイート

頼れる無料「英語絵本読み聞かせアプリ」はこれ! 英語がうまく読めないママも安心!

子どもに英語で絵本を読んであげたいけど、発音に自信がないと悩んでいるママ必見! ネイディブの発音を聴...

LINEで送る

シェア

ツイート

絵本好き必見! トークが楽しくなるLINEスタンプ10選

みなさんは普段LINEを使いますか? LINEといえば、トーク中に押すLINEスタンプはマストアイテ...

LINEで送る

シェア

ツイート

『The Giving Tree』で与え尽くすことと求め続ける親子関係を考える

2010年に村上春樹翻訳による新版が出版され、途切れることなく多くの人に読み継がれている『おおきな木...

LINEで送る

シェア

ツイート

がまくんとかえるくん『ふたりはともだち』に感じる友情の大切さ

最近ではキャラクターグッズも大人気の、アーノルド・ローベル作「Frog and Toad(がまくんと...

はじめてのアルファベット学習にオススメ 楽しく学ぶ本

みなさんは、どのようにアルファベットを覚えましたか?日本では、「きらきら星」のメロディにのせて歌う「...

頼れる無料「英語絵本読み聞かせアプリ」はこれ! 英語がうまく読めないママも安心!

子どもに英語で絵本を読んであげたいけど、発音に自信がないと悩んでいるママ必見! ネイディブの発音を聴...

絵本好き必見! トークが楽しくなるLINEスタンプ10選

みなさんは普段LINEを使いますか? LINEといえば、トーク中に押すLINEスタンプはマストアイテ...

『The Giving Tree』で与え尽くすことと求め続ける親子関係を考える

2010年に村上春樹翻訳による新版が出版され、途切れることなく多くの人に読み継がれている『おおきな木...

おはなしの部屋
おはなしの部屋

読み聞かせ、手遊びなどの動画を集めました。