『The Snowy Day』差別のない社会への願いが込められた作品

『The Snowy Day』 差別のない社会への願いが込められた作品

ある朝、目を覚ましたピーターの目に飛び込んできたのは、真っ白な世界。そう、一夜にして街は雪に覆われたのです。真っ赤なコートと帽子を身に付け外に飛び出したピーターは、色々な遊び方で雪を楽しみます。足跡をつけたり、棒で雪をつついたり、雪にダイブしてみたり! きっと、誰でも一度は試したことがあるでしょう。

この絵本『The Snow Day』を読むと、不思議と大人は童心に戻り、子どもはもし雪が降ったら何をしようかウキウキ待ち遠しい気分になります。さあ、みんなで一緒にピーターの雪の日の1日を覗いてみましょう!

 

『The Snowy Day』 差別のない社会への願いが込められた作品

 

楽しい冬のひとときを、主人公と共に

出版当時、黒人が主人公の本は非常に珍しく、この本は「革命」とまで言われました。この傑作を息子がどう楽しむのか親として非常に楽しみでした。

まず本を開くと、鮮やかな色彩が目に飛び込んできます。真っ赤な壁紙や、アフリカの布を彷彿とさせるパジャマの柄は、読み手を楽しい気分にしてくれます。
一般的に、雪がテーマの絵本と言えば、白や青を基調にした色合いというイメージがありますが、柔らかい温かみのある色を使うことで、ピーターが新雪にウキウキしている雰囲気が巧みに表現されています。

読み進めると、ピーターが雪に足跡をつけたり、雪だるまを作ったり、冬を思いきり楽しんでいる様子がたくさん出てきます。ピーターの行動一つ一つが、子どもなら必ずやった、やりたいと思う事だったせいか、息子も「また雪で遊びたいなあ」と去年の冬を思い出したようでした。読んでいる私も自分の幼い頃を思い出し、「お母さんが小さい頃はね、ソリに乗ったり、カマクラっていう雪のお家を作ったりしたのよ。雪が降ったら一緒にやろうね!」と、次の冬の計画で盛り上がりました。

『The Snowy Day』 差別のない社会への願いが込められた作品

『The Snowy Day』 差別のない社会への願いが込められた作品

 

子どもと初めて考える人種差別

 

本書が出版された1962年、アメリカでは黒人差別が根強く、南部では法律で黒人差別が容認されていました。例えば、バスや電車には黒人専用席があり、黒人は白人の隣に座る事ができませんでした。他にも異人種間の結婚を禁止する、学校や病院が分けられるなど、とても厳しい物でした。

この白人優位の考えは絵本にも影響を与え、「絵本の主人公は白人でなければならない」という暗黙のルールがあったのです。

しかし作者のエズラは、移民二世として 「よそ者」を常に気にかけていました。自分の町には、様々な人種の移民が集まり、貧困に負けず懸命に生きている……。彼らを主人公にしようと思いついた事は、実に自然な流れでした。

現在、人種や宗教の違いから多くの争いが起こっています。国レベルでの解決は難しいかもしれません。だからこそ、私たち個人が他者を理解する事が大切になってきます。

お子さんにはぜひ、「肌の色や考え方が違っても、みんな大事なお友だちだね」と教えてあげてください。違いを受け入れることは大人には難しいですが、無垢な子どもたちは、実に容易にこの難問をやってのけてしまうでしょう。

 

作者 エズラ・ジャック・キーツについて

エズラ・ジャック・キーツはニューヨーク出身で、ポーランド系ユダヤ人の移民の家庭に生まれました。家が大変貧しかったため、絵の才能に恵まれたエズラは、8才の時から看板書きをして家計を助けていました。

学生時代には賞や奨学金を勝ち取り、彼の才能は誰もが認めるようになりますが、父・ベンジャミンは画家になる事を反対します。ベンジャミンは勤めている食堂で、飢えた画家たちを何人も見てきました。中には空腹のあまり、一杯のスープと絵の具を交換する者もいたのです。

看板屋になるよう勧める父に複雑な思いを抱くエズラでしたが、父の死後、初めて彼の本心を知ることになります。

ある日、父の遺品整理をしていたエズラは、ボロボロの財布から一枚の新聞の切り抜きを見つけます。それは、エズラがコンクールで賞を取った時の記事でした。口にはしないけれど、息子を誰よりも応援していたのは他ならぬ父だったのです。

この『The Snowy Day』はもちろん、彼の作品の随所に家族の優しさが描かれているのは、彼の心が愛で満ちあふれていたからでしょうね。

『The Snowy Day』 差別のない社会への願いが込められた作品

 

違いを受け入れる事は、大様にして難しい物です。そのために、長い歴史の中で数々の争いが起こってきました。しかし、偏見のない子ども時代に様々な価値観に触れ、広い視野を養う事で未来を変えていけるのではないのでしょうか? この本を読んだら是非、差別のない平和な社会を願う作者のメッセージを、お子さんと一緒に感じてみてください。

プロフィール

MKN Nakajima

ライター:MKN Nakajima

1歳と3歳の男の子のママです。
学生時代から英語が好きで、語学研修や海外文通などを通して英語に親しんできました。
私が英語を学んで強く感じたのは、「英語が自分の世界を広げてくれた」ということです。
子どもたちには、英語絵本を通して様々な価値観に触れ、多様性に満ちた社会を理解する力を培って欲しいと思っています。

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