
ドイツで小さな女の子に、「コニーって知ってる?」と聞いたら、ほぼ間違いなく「うん」という答えが返ってくると思います。
そのくらい有名なのが、今回ご紹介する絵本『Conni lernt Rad fahren』(コニー、自転車に乗る)の主人公、コニーです。
コニーの本はシリーズで出ていて、小さな女の子が日常生活で体験することを、等身大のストーリーに描き出してくれます。
例えば歯医者さん、友達とのケンカ、水泳、乗馬(ドイツの女の子は馬を「かわいい」というのです! キャラクターグッズも、馬のものばかり)、お手伝い、入学式など、実にさまざまなテーマのお話があります。
『Conni lernt Rad fahren』では、コニーは自転車に挑戦します。
小さい子が自転車に乗れるようになるのは、もちろん簡単ではありません。
でも、コニーが失敗して、それでも頑張る姿を見て、読んでいる子どもたちも勇気をもらえるのです。
ある日のこと、Klingelingeling(リンリンリン)と高らかにベルを鳴らして、コニーの友達のアナが公園にやってきました。
Roller(足で蹴ってこぐキックスケーター)しか持っていないコニーは、うらやましくてたまりません。(ちなみに、このキックスケーターは、ドイツでは小さな子どもから大人まで人気です。学校にキックスケーターで通う子もいます。)
アナはコニーに自転車を貸してくれましたが、乗り方を知らないコニー、壁にぶつかって怪我をしてしまいました。
それでもめげないコニー。自分専用の自転車ならきっとうまく乗れる、とパパとママにお願いします。
やがて訪れた誕生日。ほしいものリストの一番上に載せたのは、もちろん自転車でした。
誕生日の朝、早く目を覚ましたコニーは、プレゼントが置いてある居間に急ぎます。
果たして、コニーは自転車を手に入れることができたのでしょうか?
パパとママは、コニーの欲しかった赤い自転車と素敵な赤いヘルメットをプレゼントしてくれました!
パパと練習して、補助輪つきの自転車に乗れるようになったコニー。
原文
“Papa zeigt Conni, wie man mit der Handbremse und den Pedalen bremst.”日本語訳
「パパはコニーに、手のブレーキとペダルでどうやってブレーキをかけたらいいのか、おしえてくれます」
“○○zeigt××, wie ~”というのは、「○○は××に、どうやって~をするのかやってみせる」という意味で、初めて何かをするときに、やり方を教えてもらう場合によく使います。
zeigenという動詞は「見せる」という意味なので、”Zeig!”だけで、「見せてよ!」という意味になります。
誰かが「いい物」をかくし持っているときに、子どもたちが「見せて、見せて!」とせがむときなどに使われます。
さて、ここでちょっと疑問なのは、手のプレーキはわかるけれど、ペダルでブレーキってどういういうこと? というところですよね。
実はドイツで売られている自転車は、ペダルを後ろ側に漕ぐと、後輪にブレーキがかかるようになっているのです!
私はこのペダルのブレーキが苦手で、ほとんど使っていません。使えたら、しっかりブレーキがかかるので良いらしいのですが・・・。
とにかく、無事自転車に乗れ、満足なコニーなのですが、小学校で上級生が自転車のトレーニングをしているのを目にして、「あれ?」と思います。
そう、みんな補助輪を付けていなかったのです!
それなら私も、と頑張るコニー。何度も転びながらも、見事、補助輪なしで自転車に乗ることに成功するのです。
小学校での自転車講習は日本でもあると思いますが、ドイツではかなり本格的にやって、自動車ならぬ「自転車」免許というものを小学校で取らせてくれます。
なぜかというとドイツでは、自転車は歩道ではなく、車といっしょに車道を走るものだからです。
慣れていないと恐ろしいのですが、車の正面を、自転車が堂々と走っていたりします。追い越しができない細い道では、自動車が延々と自転車の後ろについていくこともあります。
そういうわけで、交通ルールを良く知り、右折、左折は手を挙げてサインしないと、とっても危ないのです。
もちろん、自転車好きな国なので、車道の横にサイクリングロードが整備されている場所も結構あります。また、自転車から下りて手で押していけば歩道も歩けますし、小さい子どもは歩道を走っても構いません。
私はまだ怖くて、車道を自転車で走ったことはありませんが、小学校で真面目に自転車のルールを教えるのには、そういう事情があるのでした。
コニーが活躍するこのシリーズの人気は絶大で、特に女の子のいる家庭では、必ず何冊かコニーの本を持っていると思います。
うちにも、『Conni tanzt (コニー、バレーを習う)』『Conni auf dem Bauernhof (コニー、農場に行く)』『Conni macht Musik (コニー、音楽教室に行く)』『Conni im Krankenhaus (コニー、入院する)』など、たくさんの本がありました。
子どもたちがコニーの本を好きなのは、自分と同じくらいの年のコニーが、自分と同じようなことに興味を持ち、同じような問題に直面して、失敗しても頑張っているからだと思います。
コニーのシリーズは特に物語の設定がリアルで、今のドイツの子どもたちが本当に自分の生活で体験するようなことが扱われているところが、共感を呼ぶのかもしれません。
ドイツの本屋さんではどこでも店内のどこかに、小さな本がいっぱい入った器を持った、ピクシー(Pixi) という妖精の人形が置いてあります。ピクシーが持っている本は、10cm四方くらいで100円程度なので、親たちも気軽に買ってあげます。
コニー・シリーズには、少し大きい版もありますが、たいていは、このピクシー文庫のもの。そんな気軽さも、コニー大人気の秘密なのでしょう。
コニーはテレビ・シリーズも人気ですが、なんといっても、CDが一番良く売れています。
ちなみに、今回紹介した小さい頃のコニーの他、10才くらいのコニー、思春期のコニー、また数冊ですが、もっとお姉さんになったコニーのシリーズも出ているそうです。
自転車に上手に乗れるようになったコニーは、家族で日曜日に自転車ツアーに行きます。うちも6才の下の子がやっと自転車に乗れるようになったので、同じように休日に自転車ツアーができるようになりました。
子どもにとっては大変な自転車の練習ですが、コニーが頑張る姿を見て、「自分もやってみよう!」と思ってくれたらいいですね。
ライター:brezel
ドイツに暮らして、はや十数年。ドイツ人の夫と、一男一女といっしょに、古城街道にある小さな村でのんびりとしたドイツ生活を送っています。
子供のときから大の本好きで、絵本や児童書の翻訳家になるため、ただいま勉強中。子供のために本を選びながら、いい本との出会いを楽しんでいます!
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