
鉄道大好きな男の子なら必ず知っている「きかんしゃトーマス」のお話。今回はわが家にとっても思い出深い『Thomas’s Christmas Party』の絵本をご紹介したいと思います。
1942年にイギリスで生まれた機関車トーマスとその仲間たちの活躍を描いたシリーズ「汽車のえほん」は、英国国教会の牧師ウィルバート・オードリーによって創り出されました。シリーズはテレビアニメ化もされ、とても長く愛され続けています。
『Thomas’s Christmas Party』は、シリーズ7巻目『機関車トビーのかつやく』に収録されている「キンドリー夫人のクリスマス」というエピソードの後日談を描いたもので、アニメのためにオードリーが書き下ろした作品です。 「キンドリー夫人のクリスマス」で登場するキンドリー夫人は機関車たちが大好きで、病気で寝ているベッドからいつも手を振っていました。
ある日、トンネル先の土砂崩れに気づいたキンドリー夫人は、トーマスたちが通る前に危険を知らせ彼らを救ったのでした。 感謝のしるしにキンドリー夫人を療養地ボーンマスに招待してこの物語は終わっていましたが、この絵本はその続きから始まります。
トーマスとトビーがボーンマスに修理に送られた時、キンドリー夫人を見つけます。恩を忘れないトーマスたちは何とかしてキンドリー夫人にお礼を言いたいと思い、クリスマスパーティーに招待することを思いつくのですが……。それぞれの顔を持ち、人間と会話できる機関車たちが開くクリスマスパーティーとは、一体どんなものなのでしょう?
そもそもクリスマスとはキリスト教でイエス・キリストの降誕を祝うお祭りです。前日の12月24日のクリスマス・イヴの夕方から25日にクリスマスのお祝いをします。 イギリスではクリスマスの間は家族と過ごすのが一般的で、日本でもおなじみのクリスマスツリーやリースを飾り、外出はクリスマス・ミサのみ、家で家庭料理を味わうのが習わしとなっています。
そしてその翌日26日は祝日で、「ボクシング・デー(Boxing Day)」と言い、バーゲンセールが行われる日だそうです! ボクシングと言ってもスポーツの方ではなく、プレゼントの箱(Box)開ける日という意味です。クリスマスも仕事をしなければならなかった使用人たちのために、箱入りのプレゼントが用意されたことが由来と言われています。
この絵本『Thomas’s Christmas Party』にも、Boxing Dayのことや家庭料理が登場しています。トーマスとトビーがキンドリー夫人に贈ったパーティーの招待状には、こんな文章があります。
原文
“At a Party at The New Engine Shed, Tidmouth, on Boxing Day at 5pm”日本語訳
「26日午後5時、ティドマスの新しい車庫にて行われるパーティー」
キンドリー夫人にこの招待状を渡したのはトーマスたちの鉄道会社の支配人トップ・ハット卿です。彼はその前のページで、パーティーを開く日についてこんな風に言っています。
原文
“We’ve no trains on Christmas or Boxing Day. We all want Christmas at home of course; so Boxing Day will be best.”日本語訳
「クリスマスの日も次の日も汽車がない。クリスマスは家で過ごしたいから、次の日は一番いいでしょう」
そして、イギリスのクリスマス家庭料理の定番と言えばミンスパイ(mince pie)。各家庭で作られる伝統の味があるそうです。 この絵本『Thomas’s Christmas Party』でも、機関車たちも着飾ったクリスマスパーティーに登場しています。肉のミンチの語源にもなっているミンスですが、今ではドライフルーツから作られたミンスミートを詰めた菓子パイになっています。ぜひ味わってみたいですね!
トーマスはかなりの重労働である雪かきが大嫌いなのですが、冬のソドー島はとても寒く雪深いようです。ソドー島とは、作者のオードリーが創作したイギリスのアイリッシュ海上にある架空の島で、トーマスの物語の舞台となっています。
トーマスのお話にはいろいろな鉄道用語が出てきます。このお話の中では、雪に閉じ込められたキンドリー夫人を救う場面で、雪かき(snowplough)を付けて道を開いていくトーマスやトビーの姿が描かれていますが、やはりとても嫌そうですね!
お子さんがまだ小さい時には、ぜひ機関車たちの「声」を聞かせてあげてください。 例えばトーマスが鳴らす”Peep peep peep!”といった汽笛や、テレンスが鳴らす”Toot toot Tooooot!”という違った音。興味津々で子どもは目を輝かせて絵本のトーマスたちを見つめてくれます。
お子さんが少し大きくなって機関車自体に興味を持ち始めたら、鉄道用語を調べながら一緒に読んでみましょう。汽笛を鳴らすwhistle、機関車の車庫Shed、大型機関車the Big Engine、車両a vanなど普段、知らない単語も、興味次第ですんなり覚えてしまいます!
トーマス、カーズ、ブーブーズ、チャギントン……と息子はなぜか2、3才の頃ずっと顔がある乗り物ばかりを好んでいました。今思えば乗り物が好きというより、やはり人間が好きだったのかもしれませんが、いつも興味のきっかけは乗り物からでした。
トーマスを好きになったきっかけは、こども図書館で借り続けていた「汽車のえほん」シリーズです。その後アニメを観て、初めて映画館に観に行ったのもトーマス映画でした。 シール絵本やマグネット絵本もたくさん買いました。映画で見た「伝説の英雄(ヒロ)」のシール絵本はまだ家に置いてあり、いまだにどうしても捨てることができません。
どうしたら英語に興味を持ってもらえるかと思っていたあの頃に、トーマスに出会えたのはラッキーでした! 実は息子はクリスマス・イヴ生まれです。英語のクリスマス絵本を誕生日に読んであげたくて、図書館で探していた時に見つけたのが、この『Thomas’s Christmas Party』でした。この本は今も私の思い出の一冊です。
鉄道が大好きだった作者のウィルバート・オードリーは、息子のクリストファーが病気で寝ている時に聞かせてあげる話を考えていて、トーマスたち機関車のお話を思いついたそうです。そしてやはり鉄道ファンだったクリストファーも父親になり、子どものために再びトーマスのお話の続きを書き始めました。
親から子へ、線路のように続いていく物語。それが顔と心を持つ機関車たちの世界を豊かにし、世界中の子どもたちに親しまれ続けている理由かもしれません。 イヴ生まれのわが家の「救世主」にも、今まで読んできた絵本の種がいつか花開く日が来ることを願っています。
ライター:suppy
9歳になる息子と今まで多言語学習と世界の絵本に親しんできたアラフォーママです。
いろいろな国の言葉に触れて世界に興味を持ってほしいと思い、こども図書館やおはなし会に通って、たくさんの絵本と出会いました!
子どもと一緒に英語の発音を改めて勉強するつもりで、今も英語絵本の読み聞かせをしています♪
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